随分前、日本に居た頃は某大手中学受験塾で理科の講師をしていました。
たくさんの子供たちを見て色々なことを感じました。
大人の当たり前は子供にとっては当たり前でも何でもなかったりします。
本当に色々な子がいます。
例えば国語の自習をしている女の子。
親指と人差し指で何やら幅を測り、その手を定規にして問題文の上をトレースしています。
なんだか面白いことをしてるな、と思い、何してるのか聞いてみました。
「答えを探してるの」
ますます不思議。
「どうやって答えが分かるの?」
「こうやって5文字分の幅を測ってあてていくでしょ、そうするとぴったりくる言葉が見つかるの。5文字で抜き出しなさいっていう問題だから。」
「すげー・・・斬新な解き方・・・(苦笑)」
「誰に教わったの?先生?」
「ううん、みんなそうやってるもん。普通だよ。ねー!(隣りの同級生にあいずちを求める)」
「うん。普通だよー(女子数名)」
「・・・ホントに?みんなやってるの?」
「もちろん。普通だよ!」
(ガーン、、、私、異常かも・・・)
もしかしたらもっとアクロバチックな解き方をしている子もいるかもしれませんね。いたらぜひ教えて下さい!
子供の取り組み方を見ていると本当に面白いというか考えさせられます。
しかし、そこから人間という生き物について関連付けてみるとさらに深く考えさせられます。基本、子供も大人も同じですから・・・
理科では基本の図を書くと答えが瞬時にわかることがよくあります。
これを合法カンニングと称しているのですが(笑)
テストのときにパッと書いたらあとは楽勝です。
さて、ここで1つだけ問題です。
朝、南の空に見える月はどんな月でしょうか?
朝、太陽は東にあり、昼は南、夕方は西、と決まっているように(北半球)、月も形によっていつどこに見えるかが決まっています。
月の動きが一目で分かる「月早見」を書くと原理原則がわかり、
朝、南の空に見える月は下弦の月だと一瞬で分かります。
他にもあらゆる応用が利きます。
コレ一発で何にでも効く、しかも図を書く時間は20秒で済みます。
テストのとき、サッと書けば答えもパッとわかる最強のツールです。
数学でもそれは同じです。速さの問題とか、食塩水の問題とか、
問題に書いてあることをそのまま、整理して書いていけば難なく解ける問題ばかりです。
その整理の仕方を教えているようなものです。
「ね、書いてしまえば簡単。これ1つ書き方をマスターすれば10問でも100問でも色々な問題ができるようになるよ。」
「すげー、わかった!」
でもことはそう簡単ではありません。
そういった矢先から既に図を書かずにいきなり式を立てようとする。
いきなり答えを書こうとするのが子供です。いえ、大人もそういうことがあるでしょう。つながらないのです。
「なんでその答えがわかったの?(全然違うけど)」
「たぶんこうだから」
「え、もしかして天の声が聴こえたの?」
「そう」
「・・・お前は預言者か!」
延々と間違った漢字を練習し続けてしっかり間違いが定着したりする子もいますね。英単語のスペルも然り。
さて、どうしてこういうことになってしまうのでしょうか。
根本的なところをじっくりと見つめる必要があります。